れきはく講座「かつて神罰は下ったのか!」

otsu-rekihaku

2011年06月05日 09:21

去る6月4日(土)、第492回目の「れきはく講座」を、当館講堂において開催しました。
講師は大阪大学招聘教授の高島幸次先生。
タイトルは「かつて神罰は下ったのか!-近江の起請文・鉄火裁判-」



起請文とは、自分で誓ったことを、神に誓約するときに書いた文書。
提示された事例のなかで興味深かったのは、
慶長11年(1606)、近江水口の近くの村で争論の判定を幕府の役人が行ったときに、
その役人が、その判定の実効を双方の村に出した起請文です。
これって不思議ですよね。
幕府の役人であれば、幕府の権威をバックに堂々と判定すればいいと思うのですが、
少し考えてみると、徳川幕府が成立したのは慶長8年のこと。
先に記した争論が起こったのは、そのわずか3年後なのです。
ということは、出来てほやほやの幕府には、まだ権威もなければ、
信用も無かった。
そこで役人は、仕方なく神に誓うという方法をとったのです。


次に鉄火裁判ですが、これは、中世から近世初期にかけて行われた裁判の手法で、
争論の解決方法として、当事者双方の言い分のどちらが正しいのか?
また地域内で何か犯罪が起こったとき、被疑者が有罪か無罪か?
それらを判定するために、
なんと、熱く熱せられた鉄の塊を手のひらに乗せ、
数歩あるいて棚の上に無事運ぶことができれば
無罪、あるいは当事者双方の片方が勝利を収めるというものでした。
今では考えられないことが、当時は行われていたのです。



講座では、それらの個別事例をていねいに紹介されながら、
当時の人々の神に対する意識や
裁判のありかたについて、おどろおどろしくも興味深くお話ししていただきました。
参加者は、顔を引きつらせながらも、それらの話に聞き入っておられました。

当日の参加者は81名でした。
ご参加いただいた方々、今後夢の中に
鉄火裁判の様子が出てこないことをお祈りしますとともに、
最後までご清聴ありがとうございました。
                                     (学芸O.H)



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