常設展示室で、珍しい宋代の羅漢図を紹介中

2017年03月12日

 
近年、大津市ゆかりの収集家から歴史博物館にご寄託いただいた宋代の十六羅漢図を、現在、常設展示室で好評展示中ですicon12
 モノクロ基調の作品は、一見すると、拓本にみえますが、線刻部分やベタの摺り出し面に石碑の質感がみられないので、羅漢の図様を陰刻した版木に、紙を貼って取拓した拓版画と思われます目
 また、拓本では出来ない技法として、墨を濃くのせている部分と薄くのせている部分でコントラストを表現した取拓をみせていますicon12
 ちなみに、第八尊者には落款があり、『図画見聞誌』において「仏道(仏教と道教の)人物を描くにたくみにして、特に精妙を為す」とたたえられた「長沙(現湖南省)の武洞清」が原画を手掛けたことが判明しますiconN37
 表装のために、落款部分の一部が切り取られてしまってますが、「長沙武洞清」の上の文言が「祥符壬子」と読めるため、北宋代の元号・大中祥符の期間で、かつ壬子の年、すなわち1012年に原画が描かれていますiconN04ほぼ千年前ですねえface08
 洞清の描く羅漢は、李龍珉様というスタイルの一種とされていますが、とりわけ、羅漢図の姿や背景は、中国の南宋(1127‐1279)の作とされ高台寺に伝来する十六羅漢図(重文)と一致します。高台寺本には作者の落款がないことを考えると、北宋代の武洞清の原画、もしくは本作同様の拓版画を南宋代に写したものが高台寺本であるという推測もできます。その点でも、本作は貴重な拓版画十六羅漢図といえますicon12

 なお、あわせて、中心的な羅漢を取り囲んで参集する十六羅漢を描いた珍しい図像の、南宋もしくは南宋画写しの作品もあわせて展示いたしますiconN04
(ヨコヤ)

















Posted by otsu-rekihaku at 15:09 常設展示

常設展示室の展示替えをしました。

2015年01月25日

平成27年1月20日より、第118回ミニ企画展「小野神社の大般若経Ⅱ」が始まりましたが、それに合わせて、常設展示室1階の坂本コーナーの展示替えを行いましたiconN07kao_11




今回は、故人の供養をする際に用いられる十三仏図(じゅうさんぶつず)を取り上げました。十三仏とは、初七日から三十三回忌まで計13回、それぞれ亡くなった人の裁判を担当する13体のほとけを指します。

亡くなった人は13回裁判を受け、生前の行いによって極楽浄土か地獄へ行き先が決まります。つまり13回も浄土に行くチャンスがあるのですiconN36

その13回の裁判の中では、供養する側の熱意も大切だと考えられていました。そこで、13回ある法事では、十三仏を掛けてそれぞれ対応するほとけを拝み、故人が無事浄土へ行けるように供養するのです。

今回展示しているのは、坂本・西教寺に伝来しているもので、中世に遡る古い作例もみられます。

是非この機会にご覧いただければ幸いですkao05

(担当:鯨井くじら



Posted by otsu-rekihaku at 08:58 常設展示

常設展示室の展示替えを行いました♪

2014年09月12日

今年度から、常設展示室の展示替えを少しずつですが毎月行っているのに皆様お気づきでしょうかiconN05

今回は、坂本コーナーと大津絵コーナーの展示替えを行いましたiconN04

常設展示室1F 坂本コーナー



今月のテーマは「来迎」ということで、坂本・西教寺に伝来している来迎図を三幅展示しております。

向かって右が一般的な三尊形式の来迎図で、阿弥陀如来の両脇に観音菩薩・勢至菩薩が描かれます。
真ん中は山越阿弥陀(やまごしあみだ)という形式ですが、西教寺本は蓮台を持った観音菩薩が、山を越えて迎えに来るという少し変わった構図になっています。
左は迅雲阿弥陀(じんうんあみだ)という形式で、斜めに伸びる行列によってスピード感満載の来迎が描かれます。

人々の好みによってお迎えの形も色々変わってくるんですねiconN27



大津絵コーナー



大津絵コーナーの今月のテーマは「武者絵」ということで、弁慶や為朝、坂田金時などの武将を描いた大津絵を展示しておりますiconN04

弁慶の七つ道具は実際に背負ったら重くて後ろに倒れるんじゃないかと考えているのは私だけでしょうかiconN05


今回の展示替えでも特色のあるものを展示しておりますので、皆さまのご来館を心よりお待ちしておりますkao_22

(担当:くじら



Posted by otsu-rekihaku at 16:54 常設展示