企画展「湖都大津のこもんじょ学」開催中です①

2014年03月09日

現在、開催中の企画展「湖都大津のこもんじょ学」は、
連日たくさんの方にお越しいただいております。誠にありがとうございますkao06
ここで、いくつかの展示資料をご紹介したいと思いますkao05

企画展「湖都大津のこもんじょ学」開催中です①
国宝 伝教大師尺牘 弘仁4年(813)11月25日 奈良国立博物館蔵
まず1点目は、国宝の「伝教大師筆尺牘(でんぎょうだいしひつせきとく)」です。
尺牘は、お手紙のことで、これは天台宗を開かれた伝教大師最澄の、
現存する唯一の直筆のお手紙です。弘仁4年(813)の日付があります。
内容は、当時高雄山寺(神護寺)の弘法大師空海のもとにいた、
かつての愛弟子泰範に宛てたもので、
ある経典の内容を空海に聞いてほしいといいうものです。
本文3行目の「大阿闍梨」が空海のことです。

企画展「湖都大津のこもんじょ学」開催中です①
署名部分
署名には、「最澄」とあって、直筆であることがわかります。
広く歴史の教科書にも載る人物のお手紙として注目です。
その筆致とともに、素晴らしい表具も合わせてご覧ください。


企画展「湖都大津のこもんじょ学」開催中です①
国宝 制誡文(智証大師関係文書典籍のうち)
仁和4年(888)10月17日 園城寺蔵

次に紹介するのは、同じく国宝の「制誡文(せいかいもん)」です。
これは、園城寺を中興した智証大師円珍の書いた直筆の遺言状です。
この時、円珍は75歳。亡くなる3年前に弟子たちに宛てて書いたものです。
内容は、全部で3ヶ条です。比叡山への信仰を諭した第1ヶ条目。
別当光定大師への恩を記した第2ヶ条目。
そして、慈覚大師円仁の教えに対して弟子たちが法恩を忘れず円仁門徒との和合を説いた第3ヶ条目です。
いずれも弟子に宛てた大切な教えを記した貴重なものです。


今回の展覧会は、含めた国宝7点重要文化財36点を展示していますが、
いずれも展示期間が前期・後期と展示期間が限られていますkao06
今回ご紹介した国宝2点を含むいくつかは、前期の展示で3月23日までとなっております。
また、後期には、国宝の円珍筆「病中言上書」などの、珠玉の古文書を展示します。
是非この機会にご覧ください。
展覧会の詳しい内容はこちら→詳細ページ(別ウィンドウで開きます)

展示資料紹介は、「企画展「湖都大津のこもんじょ学」開催中です②」につづく。

(学芸員 たかはし)



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Posted by otsu-rekihaku at 18:15 │ 湖都大津のこもんじょ学