企画展「かわら」事前調査速報 その5

2008年09月26日

企画展のオープンの日が近づき、担当学芸員としてはこの時期、一番不安にかられるときです。企画展に伴う解説図録はほぼ手を離れましたが、数多くの瓦をどのように展示すれば、観覧者の皆さんに興味をひいていただけるか、現在会場のレイアウトを考えているところです。
展示に際し、注目していただきたい資料を、壁面のケースではなく、それとは離して特別な「行灯型ケース」に展示する方法をよく採用しますが、今回の調査のなかで、非常に興味をそそられる(それは観覧者の方にとってもですが)瓦を市内のお寺で発見しました。
名前を「白澤(はくたく)」といい、顔と胴体に三つ目をつけた聖なる妖怪?です。これは確実、行灯型ケース入りです。
「白澤」は、徳の高い為政者の治世にあらわれる聖獣で、人間の言葉を理解し、万事のことに精通しているといわれ、魔除けとしても信仰されているそうです。
髪の毛を上で括っておしゃれをしています。鬚を生やして一見ダンディーではありますが、顔に付いた三つのするどい目玉で睨まれると、悪鬼もすぐに退散するでしょう。作者は分かっています。清水九太夫という松本村(大津市松本)の瓦師で、鬼瓦もつくれば、かわいらしい動物の瓦もつくりますし、このようなすごい形相の瓦もつくるなど、バラエティーにとんだ才能の持主だったようです。
ところで、この瓦は飾瓦(かざりがわら)と通称していますが、白澤が乗っている足元の瓦は半円珠状で、蓋(ふた)をふせたようでしょ。これは、正確には留蓋(とめぶた)といって、屋根の瓦の継ぎ目に蓋のようにかぶせて、雨漏りを防ぐ役割りをする瓦なのです。(樋爪)


企画展「かわら」事前調査速報 その5


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Posted by otsu-rekihaku at 15:22 │ 展覧会