ミニ企画展「寅年の絵はがき」
2009年12月01日
本日から、ミニ企画展「寅年の絵はがき」が始まりました。

張子虎 山内神斧
今回の展覧会は、今春に開催した企画展「道楽絵はがき-コレクターたちの粋すぎた世界-」でご紹介した、当館所蔵「米谷徳太郎絵葉書コレクション」の中から、来年の干支にちなんで、大正15年(1926)寅年の年賀状を中心に約100点をご紹介するものです。
ご紹介する年賀状の図柄を考案した趣味家は、簡単に言えば当時のコレクターです。郷土玩具・納札(千社札)・マッチラベル・絵はがき・切符など、当時の巷に溢れていた様々な物を貪欲に蒐集(しゅうしゅう)しました。その結果、蒐集品は趣味家同士の交流を通して、その物自体の歴史や価値が位置付けられることになりました。また、その蒐集熱はとどまることを知らず、最後には自分たちで玩具やラベルを作ってしまうという、本来の用途から離れた所へとエスカレートしていきました。それは年賀状も同じです。趣味家同士の年賀状は、いつしか年賀状交換会と称する「年賀状を集める」行為へとなり、それぞれが干支や自らの蒐集テーマから、いかに独創性に溢れた見立てを生み出せるかに知恵を絞るようになっていきます。
今回、ご紹介する大正15年の年賀状は、残念ながら年賀状交換会の作品ではありませんが、趣味家たちが知恵を絞って考案した、愉快な年賀状が盛りだくさんです。
とはいえ、言葉だけでは分かりづらいと思いますので、いくつか作品をご紹介しましょう。

張子虎 山内神斧
今回の展覧会は、今春に開催した企画展「道楽絵はがき-コレクターたちの粋すぎた世界-」でご紹介した、当館所蔵「米谷徳太郎絵葉書コレクション」の中から、来年の干支にちなんで、大正15年(1926)寅年の年賀状を中心に約100点をご紹介するものです。
ご紹介する年賀状の図柄を考案した趣味家は、簡単に言えば当時のコレクターです。郷土玩具・納札(千社札)・マッチラベル・絵はがき・切符など、当時の巷に溢れていた様々な物を貪欲に蒐集(しゅうしゅう)しました。その結果、蒐集品は趣味家同士の交流を通して、その物自体の歴史や価値が位置付けられることになりました。また、その蒐集熱はとどまることを知らず、最後には自分たちで玩具やラベルを作ってしまうという、本来の用途から離れた所へとエスカレートしていきました。それは年賀状も同じです。趣味家同士の年賀状は、いつしか年賀状交換会と称する「年賀状を集める」行為へとなり、それぞれが干支や自らの蒐集テーマから、いかに独創性に溢れた見立てを生み出せるかに知恵を絞るようになっていきます。
今回、ご紹介する大正15年の年賀状は、残念ながら年賀状交換会の作品ではありませんが、趣味家たちが知恵を絞って考案した、愉快な年賀状が盛りだくさんです。
とはいえ、言葉だけでは分かりづらいと思いますので、いくつか作品をご紹介しましょう。

寅姫駅(虎姫駅)入場券 山本不二男
上は、過去にもこのブログの記事でご紹介した、大阪の交通券蒐集家、山本不二男の年賀状。
湖北にある虎姫駅の入場券を図柄に用いたものです。「虎姫駅」の「虎」を「寅」にしているところがお洒落ですね。

大江神社 虎狛犬 作者不明
狛犬が全面に木版された年賀状。よく見ると狛犬ではなく虎の石造物が鎮座しています。これは、出品者が創作したのではなく、大阪の神社に実在するもので、天王寺区夕陽丘町の大江神社にあります。この神社には、かつて毘沙門堂があり、毘沙門の使いである虎の石造物を制作して左右に配置したとされます。虎がモチーフであるためか、阪神タイガースの優勝祈願に訪れるファンが多い、隠れた名所だそうです。
ちなみに、こういった違う動物を狛犬代わりにまつる神社は、全国でも多くあります。亥年に趣味家が制作した年賀状には、京都御所の蛤御門前の護王神社の狛猪が画題に使われている例があります。

竹に虎 着物見立て 猪野多毛師
虎を描く時にあわせて描かれるのが竹です。「竹に虎」は、取り合わせの良いもののたとえにも、しばしば使われています。中国では、虎は竹林に棲むとされたことに因みます。
今回ご紹介する年賀状にも、この図柄が多く用いられていますが、竹に虎をそのまま描いたものだけでなく、虎の模様や竹の色などを意匠化したものなど、それぞれ工夫を凝らしているようです。ちなみに、上でご紹介した年賀状の図柄は、着物に見立てたもの。竹模様の総柄ですが、裾が開くと虎の模様がチラリと見える着物をイメージしたものと思われます。現実にあれば、なんとも粋な着物ですね。

サーカス虎 小西一四三
サーカスで演技をする虎の図柄。なんともモダンな図柄です。
出品者の小西一四三は、本業は友禅業。主たる蒐集対象は納札で、関西を代表する納札の大家です。田中緑紅が記した「京都の趣味家」(『鳩笛』大正14年)によると、ポチ袋六千余、手拭数千本、納札沢山、珍本数千と多くのコレクションを有していました。我楽他宗では、第14番札所久護山卜鯰寺として加入し、鯰に関する蒐集を始めました。
展示では、これら図柄の面白い年賀状の見立て解説や、年賀状を出品した趣味家の来歴等も織り交ぜながら、肩の力を抜いて気軽にご覧いただけるように展示しています。
大正15年の年賀状は、今から84年前の年賀状ですから、巷にあふれる物や流行が異なり、直接その図柄を用いることは、なかなか難しいかもしれませんが、展示している当時の趣味家の年賀状の見立ての心を参考に、楽しい年賀状を考案いただければと思います。(きづ)
タグ :道楽絵はがき
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otsu-rekihaku
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