企画展「大津歴博の玉手箱」第4章「流転する古文書-蔵に収めること-」コーナー

2016年03月11日

現在、大津市歴史博物館では、企画展「大津歴博の玉手箱」を開催中ですface02
この展覧会は、学芸員が各コーナーを担当し、徹底解説していますiconN27

このブログ上で各コーナーのお知らせをしたいと思いますが、まずは、古文書担当が、第4章「流転する古文書-蔵に収めること-」をご紹介しますkao_22

このコーナーでは、江戸時代から明治時代にかけて、上坂本に居住し、比叡山延暦寺の各坊院に所属して、雑用・年貢収納・山林管理をおこなった山門公人(さんもんくにん)の家に伝わった古文書群18000点を紹介していますkao07

山門公人は、江戸時代においては、名字・帯刀が許され、また剃髪して公人仲間という組織を結成していました。そして、日々の仕事に従事しながら、湖国三大祭のひとつ「山王祭」において具足で身を固め神輿を警固する特権がありました。

そんな山門公人のひとり景山家で作成され、授受した古文書は、幕末・明治期の廃仏毀釈・神仏分離の時期に散逸を余儀なくされますkao_3その後、個人の方が収集したり、大学研究者が調査したり、最終的には、この大津市歴史博物館に収蔵となりました。

また、展示では、景山家文書が多く蓄積されることになった背景を、江戸時代中期の当主の遺言や掟書、江戸時代後期の当主宛ての大量の書状の存在から紹介しています目

企画展「大津歴博の玉手箱」第4章「流転する古文書-蔵に収めること-」コーナー
写真1 山門公人旧景山家文書のうち、年貢収納等に関する帳簿類

企画展「大津歴博の玉手箱」第4章「流転する古文書-蔵に収めること-」コーナー
写真2 未整理文書の束(江戸時代後期の当主景山出羽徳峻宛がほとんど)

ところで、このコーナーでは、古文書を読むことも大事ですが、それが現在に至るまで、どういった来歴を経て、大津歴博の所蔵になったのか、ということにも力点を置いていますyubi_1
歴史資料や古文書は、その個人・家・地域など、あらゆる歴史情報を紐解く上で欠かせない資料です。ですが、近年、そうした資料が、家の継承や様々な問題で、維持・管理が難しくなってきていますkao11古文書・歴史資料は、伝えられてきた経緯そのものも歴史ですので、文書や記録の作成・授受、保管されてきた「場」での継承・保存が望ましいといえます。しかし、それが叶わない場合、それらの保存の最後の砦が公共の地域博物館の収蔵庫の存在です。
個人・地域の蔵から、博物館の「蔵」へ。そうした来歴をたどった山門公人文書の全貌をご紹介iconN04

詳しくは、3月23日・3月30日のギャラリートークでお話しします!

(担当:学芸員 高橋)



展覧会・ギャラリートークのご案内⇒http://www.rekihaku.otsu.shiga.jp/news/1604.html

本展覧会の期間中、毎週水曜日の午後にギャラリートークを開催しています。
「流転する古文書-蔵に収めること-」のギャラリートークは、
3月23日(水)15時から
3月30日(水)15時から 
の2回開催します。
どちらの回も基本的には同じ内容でお話しをしますので、ご都合の良い方で、ぜひご参加ください。



同じカテゴリー(展覧会)の記事画像
企画展「膳所城と藩政」開催中です!
企画展「大津の都と白鳳寺院」が開幕しました!
瀬田の古い写真を展示します!
企画展「田上てぬぐい‐暮らしと文化‐」とおもちゃづくりワークショップ「田上製作所(タナカミファクトリー)」展開催中です!
旧志賀町の古写真を大幅増量‼
志賀町・大津市合併10周年記念展「村の古地図-志賀地域を歩く-」スタート
同じカテゴリー(展覧会)の記事
 企画展「膳所城と藩政」開催中です! (2018-03-13 14:28)
 企画展「大津の都と白鳳寺院」が開幕しました! (2017-10-07 09:00)
 瀬田の古い写真を展示します! (2017-09-01 16:30)
 企画展「田上てぬぐい‐暮らしと文化‐」とおもちゃづくりワークショップ「田上製作所(タナカミファクトリー)」展開催中です! (2017-08-10 15:51)
 旧志賀町の古写真を大幅増量‼ (2017-03-17 16:25)
 志賀町・大津市合併10周年記念展「村の古地図-志賀地域を歩く-」スタート (2017-03-04 12:40)


Posted by otsu-rekihaku at 17:06 │ 展覧会 大津歴博の玉手箱