企画展「車石」・おもしろ展示資料

2012年03月23日

3月3日(土)から好評開催中の企画展「車石(くるまいし)」
珍しい資料が展示されていると、ひそかな話題を呼んでいますface02
その資料とは、今から約300年前の宝永7年(1710)に作成された
鳥羽街道の絵図です。今回の企画展が初公開icon12になりますkao_22

鳥羽街道とは、京都の市街地の南、
かつて平安京の時代にあった
羅城門跡から南へ延びる街道で、
淀の港あたりまで続いていました。

鳥羽街道は、江戸時代、淀で荷揚げされた物資を京都へと運ぶ幹線道路として
重要視されていたのですicon16
この街道には、古くから歩道(人馬道)とは別に、車道(くるまみち)が造られていたのです。
この鳥羽街道絵図には、車道が書き込まれていますiconN27

それによると、宝永7年の絵図作成時に、すでに一部分、車道が開通していたことが分かるのですが、
新規に車道を造る必要が出てきたため、この絵図が作られたようですiconN37

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写真1 街道沿いの民家・高札場・辻番所

絵図は測量されて正確に作られており、
街道沿いの民家も、瓦葺き、藁葺きの様子が丹念に描き分けられていて、
寺院や小さな祠(ほこら)、高札場、脇道まで当時のままに描かれています。

それだけでも貴重な絵図といえるのですが、
この絵図の仕組みがちょっと変わっていて、面白いのですkao_13

企画展「車石」・おもしろ展示資料
写真2 鳥羽街道絵図の部分(その1)

写真2を見ると、なぜか三角形の空白部分がありますよね。
何のための空白なのでしょう。正解は写真3をご覧ください。

企画展「車石」・おもしろ展示資料
写真3 鳥羽街道絵図の部分(その2)

実際の街道は曲がりくねっているのですが、
絵図でそれを表現しきれない。
そこで考え出されたのが、この方式です。

企画展「車石」・おもしろ展示資料
写真4 複製した絵図を折り曲げる様子

写真4をごらんのとおり、空白部分の角度などは正確に測らないと
つまり空白部分になる三角形の角度によっては、
微妙に実際の街道と違ってくる。

びっくりするような先人の技術と思いませんか。
この絵図は、全長が18メートルiconN04ありますので、
展示スペースの関係で、前期と後期
2期に分けて場面替えを行います。
是非ともご覧ください。
一見の価値は大いに有りです。
                (担当学芸 O.H)



タグ :車石展

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Posted by otsu-rekihaku at 10:43 │ 展覧会