れきはく講座「大津百町の古文書を読む」

2012年12月26日

毎年の恒例講座「古文書講座〈初級編〉」(3回連続)が、
去る12月15日(土)に終了しましたkao_22
今年の講座も、入門講座ということで、
古文書の読み方や見方を中心にお話ししましたiconN27

今年は、次回企画展・ミニ企画展と連動して、
大津百町の古文書を読む」というテーマで、
町のはじまりや、自治組織、東海道の宿場町に関する古文書つかって、
楽しく、わかりやすく(iconN05)お話しましたkao01

担当したのは、昨年同様、学芸員の高橋ですkao06
初級ということもあって、初学者の方や、
普段古文書をみる機会のない方もおられましたので、
講堂内に展示ケースを置いて、実物の古文書もご覧いただきました。
見て、読んで、声に出す、古文書の楽しさを少しでも体感いただけたと思います。

また、全講座各回とも100人を超す方にご参加いただきました。
本当にありがとうございました。


れきはく講座「大津百町の古文書を読む」
《写真1》講座の様子

今回も、前回と同様に、大変緊張しながらみざる
古文書のあれこれをお話しさせていただきました。
その3回の内容をご紹介します。

【第1講目 大津町のはじまり】
古文書って、なんだか難しいkao_4、読めないkao_5、苦手だkao_20、という方も多いと思います。
いきなり字を読もうとすると失敗だと思います、
ということをお話ししました。
かたちや、差出人の署名宛先人の書き方などなど、
古文書の読む前に注目していただきたい点をご紹介しました。

使ったテキスト(古文書)は、安土桃山時代の大津町の成立に関するもので、
まずは古文書のながめ方から紹介しました。
大津城太閤検地をキーワードに大津町の’誕生‘についてお話しました鍵


【第2講目 大津町の履歴書】人が自分の履歴書を書くように、
大津の町もその来歴が記されました。それが第2講目のテキストに使用した
「大津町覚」(国立国会図書館蔵)です。
町の履歴書といってもいいでしょう。
そんな「大津町覚」もくずし字で書かれているため、読解も必要になります。
一行ずつ解説をしながら読み進めました。
講座参加者の方に、読んでいただいたりもしました。
壇上におあがりいただいた方には改めて御礼申し上げますkao06


【第3講目 大津町の古文書3題】
第1講目で古文書のかたち、第2講目でくずし字読解のポイントをお話し、
最後の第3講目は、少し実践的に、大津町に関わる古文書3点から
3つのテーマについて考えましたkao_11

れきはく講座「大津百町の古文書を読む」
《写真2》解説する担当(高橋)


 ①倹約する人々
大津町の節約と隣人同士の付き合いにかんする古文書
江戸時代の倹約令との関係や、町内の贈答儀礼の変化を考えました。

 ②緊縮財政
大津宿の人馬会所の緊縮財政について書かれた古文書
全31箇条にもおよび、その節約や緊縮の様子を知ることができます。
やや虫食いがあり、古文書を読むうえでの大変さ?も体感いただきました。

 ③抜け荷を防げ
小関越の抜け荷改番所設置に関する古文書
園城寺領の神出村に、抜け荷改め番を設置することを決めたもの。
寺務を担当する政所から大津宿御伝馬会所に宛てられたもので、
その関係や、京都への抜け荷対策に苦心した様子がわかります。

れきはく講座「大津百町の古文書を読む」
《写真3》 みなさんと一緒に読んだ「人馬会所勤方印形改帳」


今回の古文書講座は、
2月26日から始まるミニ企画展「大津の古文書6 大津百町の誕生」(仮)で展示する古文書を用いて、町の歴史を古文書から読み解こうとしたものでした。

少し難しい点もあったかと思います。
しかし、読めないよ!とあきらめるのではなく、
少しの時間でもいいので、毎日古文書を眺め、
解読文と見比べながら、是非声に出して読んでください。
声に出して読みたい古文書、是非この大津から始めてみませんか。
(学芸員 高橋)


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Posted by otsu-rekihaku at 15:15 │ れきはく講座